第32回中央委員会決議

寮生の声から出発して寮自治会活動を発展させよう

「寮自治って寮生に役立っているの?」「そもそも自治って何?」――。この半年間、いろんな寮生から聞いた言葉です。第45期全寮連ではこの半年、新歓や寮祭、奨学金充実をもとめる署名活動など、様々な活動をおこないました。こうした活動のなかで、寮自治の大切さとともに、もっと根源にたちかえって考え直したいという要望がつよくよせられています。そこで今回の中央委員会は、「寮生の声から出発して、寮自治活動を発展させよう」をテーマに、いくつかの角度から問題提起し、お互いの交流で深めていきたいと思います。そして、今後の寮自治会活動を発展させていきましょう。

第1章 寮生の声に即した寮自治会活動を

寮自治活動は、寮生一人ひとりの声が原点です。寮自治の役割を見つめ直すとき、まず、この原点から考えたいと思います。この半年間、私たちはドミトリーズアンケートをあつめ、寮生の切実な現状がみえてきました。

★寮生の生活実態をよくつかみ、共有し、助け合える寮づくりを

 ドミトリーズアンケートは10寮506人から回答がよせられ、寮生活が、経済的な問題、施設改善の問題、人間関係などの面からうきぼりになりました。入寮の動機は「経済的にゆとりがないから」76.5%で、入寮できなかったら「在学をあきらめる」3.2%でした。学費が高いという寮生は71.2%にのぼりました。「親がリストラされた」「兄弟の進学が危ぶまれる」「バイトで精神的にも肉体的にもきつい」などの声がよせられ、安くすめる学生寮の必要性が、ますますうきぼりになりました。 また施設面では、老朽化への不満とともに、風呂や食事など毎日の生活にかかわる声がつよくだされました。寮食堂を持つ寮では、安くておいしい寮食堂が生活を支えている現状がありました。自治寮の魅力としては、自治組織を通じて得られる人間関係があげられ、いろんな人と出会い、交流し、成長できるという声が寄せられました。 今回のアンケートを取った和光大学学生寮では、インターネット回線がなく寮生の間で不満の声がうきぼりになりました。この寮ではこのアンケートを考慮して、インターネット設置委員会を設けました。その一方でこのアンケートでは、寮生が経済的にどれだけ困難になっているのか、という点で生活状況が曖昧なものになっているところもあります。そこでアルバイト時間や仕送り額など、経済実態や生活サイクルをうきぼりにする「寮生実態調査アンケート」を集め、寮生活の課題を多くの寮生の共通認識となるよう掘り下げましょう。その上で、改めて学費・寄宿料値上げの問題やそれらにかかわる問題の解決策を見出していきましょう。

★寮生の声を尊重するために、どんな寮自治活動をつくるのか

政府は、「学寮は紛争の根源地」と規定し、学寮の教育的な意義を認めず、単なる宿舎とする方針をとっています。その結果、「建て替え」に伴って、正当な理由なく寮自治を奪われてしまうことがあります。 しかし、自治がない中では、自分たちの大学生活を守っていくことができなくなる可能性もあることがわかってきています。例えば、私立大学の大学管理の寮の中には、「授業時間中に職員が一人ひとりの部屋をチェックして回る」「夏休みは全員追い出されてしまう」「寮費が5万円」「本人と家族以外を寮に入れたら、最悪退寮処分」という、学生が自由に学ぶ権利や、生活権が保障されているとは言い難い寮もありました。 寮自治が保障されない中で、国立大学が独立行政法人になってしまえば、最低限の歯止めもなくなり、国公私立を問わず、私たちが住んでいる寮もこのような無権利状態を強いられてしまう可能性があります。大学が変えられてしまおうとするからこそ、私たちの学ぶ権利を守るために、自分たちの生活を自分たちで守っていくための寮自治がより必要になっています。 また、寮自治によって、寮規約の制定から日常的な運営までを行うことは、基本的な民主主義の実践そのものであり、社会に出ていくにあたって必要不可欠な素養を身につけることでもあります。しかし、教育政策全体は、上からの命令を従順に従う「質のよい労働力」を作るために、ものが言えない学生たちを作っていく方向に向いています。 自治だからこそ、寮生一人ひとりの意見を大切にした寮運営を行い、寮生一人ひとりの学ぶ権利を守っていくことができます。各寮でも寮自治の必要性を議論し、寮生一人ひとりの声に根ざした寮自治をつくっていきましょう。また、寮生同士の交流を進め、一人ひとりの要求を真剣に議論し、寮運営に反映させていきましょう。そして、大学の主権者である私たちが自治を行う正当性をはっきり示していきましょう。さらに、無権利状態の寮にも全寮連加盟の呼びかけをして、仲間を増やしていきましょう。 

★寮自治の悩み、模索をどうするのか。寮自治会活動についての白書をつくり、交

流しよう各地の寮から、寮自治のあり方をめぐって、悩みや模索が寄せられています。「寮の会議の出席率が悪すぎる」「役員の負担が重すぎる」「昔ながらの形態は、今の学生に合わないのでは」などの声も聞かれます。この間の活動の中で、寮生の状況と今までの寮自治のあり方との間にギャップを感じている寮自治会が少ないことが明らかになってきました。昔と今では、学生の条件が違います。不況と高学費のもとでアルバイトに追われる学生、就職難のために勉学と資格取得に励む学生も少なくありません。同時に、ドミトリーズアンケートでは、寮自治活動に「積極的に参加したい」約15%、「時間があったら参加したい」約44%となっています。「どのように大学と交渉していくことが効果的なのか」模索している寮自治会も少なくありません。大学との交渉をどうするか、ということに関心が寄せられています。寮自治の魅力を引き出し、どんな寮自治活動をつくるのか、各寮の経験を交流するなかで解決方向をさぐりたいと思います。各寮自治会の自治形態がどのようになっているのか、どんな工夫がされているのか、さまざまな寮の様子を資料化できる「寮自治会活動白書」を作成しましょう。

第2章 寮生活の困難の原因である、私たちを取り巻く情勢

日常の寮生活の困難は、私たちを取り巻く社会情勢に大きく規定されています。 「なぜ、自治がうまくいかないのか?」「どうして寮生の意見が通らないのか?」解決していくためには、原因を考える必要があります。深刻な経済実態も、建てかえ問題にも、寮自治活動の規制にも、その背景には、大学をとりまく情勢があります。一人ひとりの寮生活と寮自治活動にかかわる問題として、学び、交流し、行動していきましょう。

★奨学金充実を求める世論を広げよう

 ドミトリーズアンケートでは、寮生の約4割が奨学金をうけており、お金がない寮生にとって、まさに命綱≠ナす。ところが、日本育英会は2004年度に廃止され、「教育ローン」のような方向に変えられようとしています。文部科学省の提案では、育英会廃止後の新組織で、奨学金の返済未納分を学生負担でまかなう「債務保証制度」をつくるとしています。学生からすれば、貸与額よりも返済額がふえてしまい、利子がつく「教育ローン」と何らかわりません。 誰でも安心して学べるために、奨学金の充実こそ、求められています。全寮連としては、引き続き「育英会奨学金の充実を求める署名」に取り組み、日本育英会廃止反対の世論を大きく広げていきましょう。

★国立大学の独立行政法人化について

 現在、国立大の独立行政法人化など大学再編の動きがすすめられています。文部科学省の調査では、約8割が再編・統合を検討しており、加盟寮のある大学でも、教育学部の統廃合が現実の問題になっています。 独法化されれば、「効率性・採算性」が重視され、大学の自治がなくなり、大学外におかれる「評価機関」で運営が左右されることになります。こういう大学になれば、学費や寮費の値上げ、寮自治の廃止など、私たちの寮生活にも重大な影響がおよぶでしょう。 今期全寮連では、この問題について「緑の旗」やサマースクールなどの企画を通じて、資料提供と各寮自治会に対して学習を呼びかけてきました。 加盟寮がある大学の中にも、再編統合に伴って、大学や教育学部、教員養成過程が廃止・縮小されるところが出てきています。また、学生自治への影響も深刻ですし、学問の自由も失われてしまいます。 また、私立大学も、国立大学の条件が大きく変わってしまうことに連動して、学費が大幅に上がったり、採算がとれない夜間部が廃止されてしまったり、自主自治活動が規制されてしまったり、最悪の場合つぶれてしまったりするところが出てくるでしょう。 各寮でも「緑の旗」などの資料を題材に、引き続き学習を続けていきましょう。また、これまでの学習の成果を踏まえ、国立大学の独立行政法人化に対して反対し、学問の自由と学ぶ権利を守っていきましょう。また、大学問題に取り組む団体との協力を進めていきましょう。

★有事法制について

 全寮連が平和の問題を扱うことには、疑問も出されています。「寮生活に関係ないことは扱うべきではない」という意見もありましたが、中央執行委員会では、これが寮生活に深刻な影響を与える可能性があることから、継続的に資料を収集し、情勢学習を行ってきました。 まずはっきりしてきたのは、有事法制の指定公共機関に大学がほぼ確実に入れられること、つまり、有事法制が制定され、発動されてしまえば、大学および学生寮は戦争遂行を最優先に使われていくことになるということです。研究も軍事の研究が使われ、大学が自衛隊の陣地になれば、学生寮は兵舎となってしまう可能性があります。すでに、有事法制の動きと連動して大学内で自衛隊との共同研究が進められてしまいました。 有事法制などのいわゆる「平和の問題」は、私たちの生活とは直接関係のない政治の話だと捉えられがちですが、実際には、私たちの日常を、いつでも戦争ができる体制へと作り替えてしまうものであることがわかってきました。有事法制は、9条だけではなく、主権在民、基本的人権、戦争放棄という憲法の3原則すべてに反しており、憲法に定められた権利全体を奪ってしまいます。そして、憲法の3原則は、私たちの基本的な権利、寮に住み、大学に通うことが保障されていることの根底にあるものです。有事法制が通ってしまえば、私たちの権利を保障している憲法自体が変えられてしまうことと直接に繋がっています。 私たちの主権や基本的人権を制限し、戦争協力の義務を課す有事法制の問題について、寮生にとって必要な情報を調べ、学習し、全寮連としてどう関わっていくべきかを考えていきましょう。

第3章 自分たちにとって意味ある全寮連をつくっていこう!

 全寮連「全日本学生寮自治会連合」は、全国の寮自治会がともに学び、考え、行動する中で問題解決を目指していく組織です。ドミトリーズアンケート2002では、全寮連の活動で興味あることに、「全国の寮生と交流できる企画に参加したい」「寮生の声を国会に届けたい」「大学や寮をとりまく環境について学習したい」が多くあげられています。寮生一人ひとりの要求を大切に、自治を発展させるような方向で、全寮連活動を主体的に各寮自治会が進めていくことを呼びかけます。

★全寮連の輪を広げよう

全寮連では今年の夏にサマースクールという学習・交流企画を行い、全国寮生との学習と経験交流を進めました。今回のサマースクールには、15寮60人が参加し、日常的な自治の問題から、それらの原因となっている情勢の問題まで広く議論が行われました。そして議論の内容や感想が現地実行委員会の手で議事録としてまとめられ、今後の全寮連活動を大きく発展させるものになりました。しかし、会場として三重大学安濃津寮を借りようとしたところ、これまで使われてこなかった規定が突然適用され、三重大学当局から安濃津寮の使用を禁止する通達があり、開催自体が危ぶまれるということもありました。また、「全寮連の姿が不透明でよく分からない」という声は多くきかれます。これについては、書記局では「緑の旗」とは別に簡単な呼びかけや報告のビラを発行して、全寮連の取り組みに対する理解と認識を広げていこうと考えています。同時に各寮でも全寮連を伝える取り組みを進めていきましょう。全寮連を知らせる簡単なポスターなどを作り情宣しましょう。また、近くの寮や、つながりのある寮にも、「緑の旗」などを使って全寮連の活動を紹介しながら加盟を呼びかけていきましょう。

★各寮を結ぶネットワークを確立しよう

 残念ながら、多くの寮生は、全寮連との関わりが深いとは言えない状況にあります。まずは寮生一人ひとりや寮自治会の様子を日ごろから共有することが必要になっています。 今期は各寮自治会と書記局の連絡を密にしていくために、各加盟寮自治会に対して全寮連担当を設置するように要請しました。和光大学学生寮ではこれを受けて、寮委員会内に臨時に全寮連担当を設けました。また、多くの寮で渉外や緑の旗担当という形で、全寮連担当を置いていることが分かりました。しかし、電話がなかなか繋がらない、発送したものが必要なところに届いていないなどの理由で、必要なときに連絡がうまく取れないことも多くありました。それを改善するために、各寮自治会と書記局をつなぐメーリングリストを新たに作成し、確実に連絡が取り合える体制を作りましょう。 また、気軽に全寮連の情報が見られるホームページの充実も進めましょう。今期は、前ホームページ担当からの引継ぎがうまくいかず、更新ができなくなってしまいました。今後はサーバーを全寮連独自のものに変更していくことを考えています。全寮連の取り組みをより身近に、より意味のあるものにしていくためにも、書記局と各寮同士の情報交換を進めていきましょう。

★寮生の声を国会・政府にとどけよう

 国会要請は、全寮連の総意として、国会議員や政府に要請を行うものです。今期は、新規格寮の寄宿料の値上げや、寮の建て替え・改修、大学再編の問題について要請を行いました。要請では、寮生・学生の要求を真摯に受け止めようとしない政府の姿勢がうきぼりになりましたが、「政府が認めてくれない」という理由で大学当局から拒否されてきた要求をとりあげ、要求の実現に向けて道を開いた部分もありました。しかし、国会要請は全寮連の取り組みの一つの結果であって、それだけでは事態を好転させることはできません。加盟寮の寮生が一致して要求することや、それを支える世論の裏づけがあってこそ、政府に私たちの切実な要求を認めさせていくことができます。この間の国会要請では、寮全体で議論されるということがあまりなく、要請項目も書記局または中央執行委員会で議論されるにとどまっています。今後は各寮自治会でも議論し、寮生の生活改善のための要求を持ち寄ってともに要請項目を作り上げ、要請行動にも参加していきましょう。

★各寮の学習資料として役立つように「緑の旗」を充実させよう

 「緑の旗」は、各寮のとりくみや寮をめぐる情勢、全寮連の方針などを掲載し、広く寮自治会発展のために使われます。特に今期は新歓、寮祭などのテーマに沿って各寮の取り組みを紹介する記事や、書記局で把握している各寮の実態を紹介する記事、学習記事を充実させ、各寮の取り組みに生かされてきています。より充実した内容にするために、それぞれの寮の取り組みを紹介する記事を積極的に投稿しましょう。 また、今期の「緑の旗」の発行は7回となっていますが、書記局の人手不足もあり、発行が遅れてしまっています。今後はこのような状況を改善するため、「緑の旗」の担当者と書記局の連携を円滑に行うことや、編集委員を広く募集するなどして、担い手を増やしていく努力をしてきましょう。 また、全寮連の活動をささえるために、全寮連費、「緑の旗」購読料を支払いましょう。全寮連として、財政活動の確立をめざして節約につとめ、「緑の旗」表紙の印刷方法も負担のかからない方向で見直しましょう。

以 上

 

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