住宅憲章  ―― あなたの家は住宅といえますか ――

  一九八七年一〇月 日本住宅会議

【前文】

わたくしたちは、日本国憲法の精神にしたがい、人間にふさわしい住居の確保が、健康で文化的な生活を営むために必要な、国民の基本的権利であるという理念を確立し、その実現のために、この憲章を定める。

住居は、生活の器として、生命の安全と健康を守り、人間の尊厳をたもち、安らぎと秩序を保障し、人間発達と福祉と幸福の基礎をつくり、文化としての居住環境を発達させ、市民社会の基礎となる。

貧しい住居の状態は、家族の調和を阻害し、教育に悪影響を与え、社会全体の健康および道徳にたいして、重大な脅威となる。人間にふさわしい住居の実現は、豊かな生活と健全な市民社会および国際社会の平和と発展に、不可欠である。

国民は、国政の主権者として、自ら人間らしく住む権利の実現に努め、住宅政策や町づくりに参加する。国および地方自治体は、良好な住居と生活環境の整備に不断の努力を傾けるとともに、その政策の立案・施行に当たって、国民参加の道を開けておかなければならない。

【第一条・住まいへの権利】

すべて国民は、人間にふさわしい住居に住む権利を有する。この権利は、各人が幸福を追求し、および健康で文化的な生活を営む基本的な権利の一環として、平等に保障されなければならない。

【第二条・国民の義務と国の責任】

国民は、国政の主権者として、人間にふさわしい住居の実現に努める義務がある。

国および地方自治体は、すべての国民の人間らしく住む権利を保障するために、最大限の努力を払う責務を負う。

【第三条・住宅の要件】

住居は、生命の安全と健康ならびに人間の尊厳を守り、居住者に安らぎと秩序を保障するものとして、次の基準を充たすものでなければならない。

住居として独立し、プライバシーを保障すること。

堅固かつ安全な構造を備えていること。

保健・衛生上必要な設備を有し、良好な環境の中に配置されること。

高齢者、身体不自由者および子ども等の安全と快適のための配慮がなされていること。

国民経済と文化の水準に照応する一定の広さが確保されていること。

【第四条・生活環境】

生活環境は、生命の安全と健康を守り、自然・文化と調和し、住民に快適さを与え、ひいては健全なコミュニティの発達に寄与するものでなければならない。

良い生活環境は、すべての国民に平等に保障される。このために、過密および過疎から生じる困難と問題は、国土および都市の合理的計画によって、解決されなければならない。

【第五条・住居費】

すべて国民は、家計の適切な負担による住居が保障されなければならない。

国および地方自治体は、国民が過大な住居費を負わされないよう、土地の適正な価格の維持を含む、有効・適切な住宅政策を策定・実施しなければならない。

【第六条・差別の禁止】

すべて人は、社会的身分・国籍・性別・収入・家族関係等の条件によって、良い住居に住む権利の享有を妨げられない。

障害を持つ市民は、他の市民とともに生活できる居住条件を保障されなければならない。

何人も、その意志に反して、特定の地域や施設で住むことを強要されない。

【第七条・住民参加】

住民は、居住する地域のあり方を自ら決定する権利を有する。

住民は、居住に影響を与えるすべての情報について、知る権利を有する。

前二項に定める住民の権利を保障するため、国および地方自治体は、その条件を整備するとともに、住宅政策・都市計画等に住民が参加する方法と手続きを定めておかなければならない。

【第八条・住教育】

すべて国民は、豊かな住生活を実現する主権者としての教育を受ける権利を有する。

国および地方自治体は、前項の目的を達成するために、住教育の普及と研究の発展に努めなければならない。

【第九条・土地政策】

土地は、人間居住の基本要素であり、人類・社会の悠元の公共的資源であって、利殖・投機の対象とされてはならない。土地は、住みよい町とコミュニティ形成の基盤として、民主的計画にもとづいて利用されなければならない。

【第十条・社会的責務】

本憲章に定める人間らしい居住の実現は、国民の不断の努力によって始めて達成される。社会的、経済的活動に携わるすべての個人、団体および企業は、国民の居住権の充実のために、居住水準の向上に寄与する社会的責任を有する。

【附則・住居法の制定】

国は、本憲章の定める人間らしい住居の実現のため、国民の総意にもとづき、住居に関する基本法を制定する。

 

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